« 今宵は粕汁 | トップページ | 義経千本桜 三段目(前) »

2006.11.08

父と暮らせば

―― ピカが落ちておとったんが死んだ。

―― それから三年。先週の金曜日、おとったんがあの世から帰ってきた。

「おとったん、ありがとありました」

 “父と暮らせば” 井上ひさし氏原作の映画を鑑賞しました。人権学習の一環として観て来ました。こういう授業を一年に一回どこかにいれろ! という教育委員会のお達しであるようです。

 作品の映像化というよりは、黒木監督の力か、鋭い戦争批判の色が現れていました。

 音楽はほとんど使われておらず、効果音による演出がされていました。時計、飛行機の音、虫の声、雨音……。儚く物寂しげな雰囲気をかもし出しています。不気味ささえ感じたので、この辺りも監督の反戦思想が伺えました。

 構成自体にもひねりが加えられ、じっくり観ないと難しいかもしれませんが、反戦の映画としての偏りがなかったですね。演出、役者陣の演技力などが少なからず影響していると思います。

 父娘の会話を中心とした物語で、露骨にグロテスクな描写があるわけでもないのに、戦争のおろかさ、ピカの恐ろしさをひしひしと感じました。原爆資料の静物は原子爆弾の破壊力を静かにその場にあらわしていました。

主人公の女性が時折漏らす、

「死ぬことが自然で生きることが不自然」

 という言葉にすべてが含まれていると思いました。 

 あまり駄弁るとネタばれなのでこれに終わりますが、深い問いかけを持った映画でした。 

 最後の重さが少し気になりましたが;

 なんにせよ戦争なんて二度とするものではないし、あんなもの使ってはいけません。

|

« 今宵は粕汁 | トップページ | 義経千本桜 三段目(前) »

現代芸能」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/120755/12608183

この記事へのトラックバック一覧です: 父と暮らせば:

« 今宵は粕汁 | トップページ | 義経千本桜 三段目(前) »